たとえおまえは知らずとも

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―ああ、今日も来てくれた。
最近、庭の木の枝に一羽のシジュウカラがやってくる。カラ類は群れて動くことが多いのに、こいつはいつも一羽きりだ。群れからはぐれたのだろうか。
ツイツイと澄んだ声を響かせるその姿を、カーテンの陰からそっと覗く。
美しい青鈍色の羽と、白い腹にネクタイのような黒いライン。このラインが太いとオスらしいが、一羽きりだから太いか細いかも判らない。
―おまえ、たった一羽で寂しくないのかい。
私は心の中で彼/彼女に尋ねる。

昨年思わぬ病を得た私は、何とか回復はしたものの未だ本調子とは程遠く、ひとり自宅療養の毎日だ。暮らしの方は何とかなったが、社会から切り離されたような不安は尽きない。
働かなくていいね、と無遠慮な言葉を浴びせられ、肩身を狭くして生きる日々。せめておまえの役には立つだろうかと、一握りのエサを庭に撒く。
明日もまた来てくれよと呟く私の耳に、ツイと優しい声が響いた。
その他
公開:21/08/23 12:28
更新:21/08/28 11:42
今度はホワイトにしてみました 次は何色にしよう(笑) 小鳥も大好き 青鈍色(あおにびいろ) =ブルーグレイ #134

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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