ガラスの小瓶

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昭和の時代、銭湯は大人から子供までが利用する社交の場であった。
ここで子供達は大人から礼儀を学ぶ。風呂に入る前はかけ湯をする。走らない、泳がない、肩まで浸かれ。
年長者の背を流し、労わる。長くつまらないかもしれないが話は聞け。
そうしたらご褒美にと牛乳をおごってもらえる。
風呂上がりの牛乳は格別だぞ。大人も子供も皆腰に手を当て一気に飲む。
酒の一気飲みは危険だが、風呂上がりの牛乳はそれと同じ爽快感がある。あのガラスの小瓶には不思議な魅力があったんだ。
それに何を隠そう…一部の銭湯では石鹸牛乳を提供していた。
石鹸牛乳は飲むと体の中の汚れを落としてくれるんだ。牛乳を飲んだ後、口周りに白いヒゲが出来るだろ?あれは石鹸牛乳の泡なんだ。飲んでも勿論害はない。
昔はあのガラスの小瓶が私達の健康を守ってくれたものだ…

「素敵なホラ話ですね」と若者は笑う。
古き良き伝統芸能と言って欲しいものだな。
公開:21/08/19 20:45

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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