共感覚の少女

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「この中にいますか?」
容疑者達を別室から確認する主婦は苦悶する。
「一瞬しか見てないので…」
殺人犯を唯一目撃したこの主婦の記憶だけが頼りだ。
主婦は迷いながら、
「実はうちの娘、変わった共感覚を持っていて…」
「共感覚?」
ピンとこない警部に若い刑事が助け舟をだした。
「数字や音に色がついて見えるというやつですか?」
「はい。うちの娘…それが『人』なんです」
主婦の言いたいことが分かった。
「娘さん。犯人の色を見たんですね!?」
「見たことない色だと怯えたんで、つい…」
「この部屋に呼んでもいいですか?」警部は前かがみになった。
婦人警官に手を引かれ少女が部屋に入る。
母親に抱えられ透過鏡越しに取り調べ室を見た。
「さっき見た怖い色に人この中にいる?」

少女の指先に吸い寄せられる様にある人物に焦点が合った。
「そんな…」
その指は容疑者の背後に立つ見張りの若い巡査に向けられていた。
ミステリー・推理
公開:21/08/18 11:34

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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