瑠璃色のハンモック

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亡きお父さんのお気に入りだった場所。それが庭に置いてある瑠璃色のハンモックだった。お父さんは、よく瑠璃色のハンモックに寝転んで本を読んでいた。私は、そんなお父さんによく「ご飯できたよ」と呼びに行った。するとお父さんは、瑠璃色のハンモックから降りてきて「今日のご飯は何?」と聞く。私はそれに対して「秘密。お楽しみ」と答えるとお父さんは笑いながら「ええー」と答える。そんな何気ない日常が楽しかった。お父さんは何でも知っていた。よく本を読む人だったから、色んな知識を持っていた。鳥の名前や花の名前、他にも歴史の話なんかもよく教えてくれた。でもお父さんは、料理だけは全然できなくて、だから料理はいつも私の担当だった。誰もいない瑠璃色のハンモックを眺めていた。瑠璃色のハンモックは風に揺れていて、なんだかお父さんが寝転んでいるように感じた。今度は私が、あの場所を自分のお気に入りの場所にするつもりだ。
公開:21/08/19 11:01

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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