ガラスの小瓶

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透明感のある、美しい女性に恋をした。
だが女性には恋人がいた。僕ではない男と恋に落ちていた。
しかし女性は男に裏切られた。
ガラスのように繊細で脆い心はその事実に耐えきれず割れてしまった。
以来、女性は誰の愛も受け入れなくなった。その心は元には戻らないと誰もが悲観した。
そんな女性の心を僕は金で元に戻した。
「そこに愛はない」と言うけど大違いだ。僕は金を使って割れた心に金継ぎを施した。時間をかけて丁寧に元の形へと戻していく。歪と言われても気にしない。
女性の心は元の形に戻った。僕は小瓶のようなその心に愛を注いだ。
女性は僕に愛を傾けた。注いだ愛が零れてしまう。
焦らない焦らない。僕の彼女に対する想いは溢れている。零れたのならまた注げばいい。
蓋なんてしない。気持ちに蓋をしてしまえばいつかガラスの心は再び壊れてしまう。
これからも僕は彼女に愛を注ぎ、ガラスの小瓶の心の変化を楽しむつもりだ。
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公開:21/08/18 20:32

幸運な野良猫

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