ケーキ工場

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私はケーキ製造工場の見習い工員だった。小さなコンクリート壁の部屋で一日中ケーキ作りを覚えた。監視する女性工場長は、私が少しでも手を抜こうとすると手にしたスマホを撫でる。すると私の背骨にビリっと電流が走り、私は直立不動の姿勢になるのだった。
工場長はケーキに感情を込めるように命じた。それが商品の付加価値だと言った。私が作ったチョコレートケーキに何を内蔵したかと聞かれたので「努力」と答えると背中に電流が走った。
「もっと強烈な感情を入れなさい」そう言って工場長は隣のテーブルに移った。隣では私と同じような見習いがストロベリーケーキを作っている。可愛い女工員のケーキから工場長はストロベリーを一つ指でつまんで口に入れると満足そうな表情を浮かべて行った。
私はチョコレートケーキに「憎悪」をたっぷり詰め込んだ。憎悪ケーキは工場長に評価されヒット商品になって、今では私は生産ラインのリーダーである。
その他
公開:21/08/18 15:13

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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