A君
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小学校の同級生にA君という子がいた。A君はよくお母さんの話をしていた。
「お母さんは女優さんみたいにきれいなんだ」
ふーん。
「それに凄く優しいんだ」
これには納得。
A君は優しくて、少し病気がちな子だった。
高校生になって、小学校時代の男の子と会う機会があった。
その彼にA君の話をした。
「A君って今どうしてるの」
「中学行ってから引っ越したよ」
「そう。あの自慢の優しいお母さんも一緒?」
茶化した口調で訊くと彼は変な顔をした。
「あいつの母親小学校に入る前に事故死してるよ」
私は絶句して混乱する気持ちを整理した。
A君が話していたお母さんって?
そうだ。記憶のなかのお母さんの話をしていたんだ。
いや違う。私は思い出してしまった。
A君が風邪で学校を休んだとき、クラスの連絡網で私はA君の家に電話をした。
「もしもし…」
電話に出たのは確かに大人の女の人の優しい声だった。
「お母さんは女優さんみたいにきれいなんだ」
ふーん。
「それに凄く優しいんだ」
これには納得。
A君は優しくて、少し病気がちな子だった。
高校生になって、小学校時代の男の子と会う機会があった。
その彼にA君の話をした。
「A君って今どうしてるの」
「中学行ってから引っ越したよ」
「そう。あの自慢の優しいお母さんも一緒?」
茶化した口調で訊くと彼は変な顔をした。
「あいつの母親小学校に入る前に事故死してるよ」
私は絶句して混乱する気持ちを整理した。
A君が話していたお母さんって?
そうだ。記憶のなかのお母さんの話をしていたんだ。
いや違う。私は思い出してしまった。
A君が風邪で学校を休んだとき、クラスの連絡網で私はA君の家に電話をした。
「もしもし…」
電話に出たのは確かに大人の女の人の優しい声だった。
ホラー
公開:21/08/15 19:13
更新:21/08/15 19:23
更新:21/08/15 19:23
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