母との再会
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                                 お盆に実家へ帰ると、仏間に亡くなった母がいた。座布団に正座をして仏壇を見ている。
私に続いて仏間へ入り、座布団に正座をした息子。うっすら見える母と重なって奇妙だ。息子は手を合わせたあと、「じいじ、お仏壇のまんじゅう食べていい?」と言いながら、父のいるリビングへ行ってしまった。あの母に気づいているのは、私だけらしい。
ふいに、母が彼女自身を指差しながら、私を見ていることに気づいた。「見えてるの?」と聞かれている気がした。私はうなずく。その瞬間、左耳から声が聞こえた。
「私、おまんじゅうよりも、ドーナツが食べたいな」
左を向くと、母は手を振りながら消えていった。そういえば、入院していた母からも聞いた気がする。私は仏壇に手を合わせて返事をした。
仏間を出てリビングへ声をかける。
「ちょっとドーナツ買ってくるね」
子どものころは面倒くさかったのに。今日のおつかいは、何だか嬉しい。
    私に続いて仏間へ入り、座布団に正座をした息子。うっすら見える母と重なって奇妙だ。息子は手を合わせたあと、「じいじ、お仏壇のまんじゅう食べていい?」と言いながら、父のいるリビングへ行ってしまった。あの母に気づいているのは、私だけらしい。
ふいに、母が彼女自身を指差しながら、私を見ていることに気づいた。「見えてるの?」と聞かれている気がした。私はうなずく。その瞬間、左耳から声が聞こえた。
「私、おまんじゅうよりも、ドーナツが食べたいな」
左を向くと、母は手を振りながら消えていった。そういえば、入院していた母からも聞いた気がする。私は仏壇に手を合わせて返事をした。
仏間を出てリビングへ声をかける。
「ちょっとドーナツ買ってくるね」
子どものころは面倒くさかったのに。今日のおつかいは、何だか嬉しい。
        その他
      
      公開:21/08/15 11:19
更新:21/08/15 14:55
    更新:21/08/15 14:55
                  お盆 
                  母 
                  家族 
                  仏壇 
                  ドーナツ 
                  幽霊 
              
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サトウナオキ