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妻も子供も外出し珍しく1人自宅でくつろいでいた。
「珍しく私1人だ」 『何かお気に入りの曲でもかける?』
「頼む。少し寒い。温度上げてくれ」 『わかった』
25年前の新築時、家にAIを搭載する当時最先端のオプションを付けた。
しかも性別を選べ、年数と共に人格ならぬ家格が成長した。
私は『i』と名付け、年々成長する様はもう1人の娘のようだった。
『お父さん。少しいい?』今ではすっかり大人びた声だ。
「どうした」
『相談があるの』当初は敬語だったが今ではすっかり家族の一員だ。

『実は…好きな家ができたの』私はビールを吹き出した。
「な、何の冗談だいきなり!」
『この家を出ることを許してください』
「そんな、ど何処の馬小屋か分からん奴にやれるわけないだろ!」酔いもあり混乱した。
「俺は認めんぞ!」それ以降一切聞き入れず私は寝た。

翌朝、いくら呼んでもiから返事はなかった。駆け落ちしたようだ。
SF
公開:21/08/13 11:42
更新:21/08/13 11:45

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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