Wanted　Cat

親分の人相書きが、町内各所の電柱に貼ってありやすぜ。何でも迷い猫を探していて、賞金は鰹節3本とありやす。
親分は本当は、飼い猫だったんでやんすか？
実はな、俺は永年飼い猫をやりながら、裏では組織を率いる親分として二足草鞋を履いていたのよ。
ただ最近は世の中も大きく変わり、お前らの仲間同士の揉め事や、もっと厄介な隣町の奴らとの縄張り争いも激しくなり、
二つの顔の生活は限界だ。
この際、思い切って家出しちゃったのさ。
飼い主が必死で、俺を探してくれていると知って嬉しいぜ。
アイツには恨みはねーし感謝すらしている、でもこれが渡世猫の辛いところよ。
楽な生活よりも頼りにされる、やり甲斐のある人生を、いや猫生を選んだのよ。
おめえら、俺を見つけたと飼い主に突き出せ、賞金の鰹節を手に入れたら、てめえら子分で美味しく頂け。
その内俺はスキを見て、またここに戻ってくるぜ。
親～分！
泣くな、暫しの別れだ！