夏の魔法

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夏の魔法なんてないと思っていた。
夏休み。本当は将来のことを考えなくちゃいけない。でも、ずっと逃げたまま。遊んでいた。

焦燥感、背徳感、後悔。それらで板挟みになって、苦しくなったのか。夢を見た。暴れている猫の夢。

最初は暴れている猫をどうにか抑えようとしていた。けど、気づく。暴れながら苦しんでいることに。どうして苦しんでいるのか、分かるはずないのに、伝わってくる。…心が苦しくなる。「こわい…、こわい…!くるしい、くるしい!」何とか出来ないかと、傷つきながらも猫を抱いてなだめる。
「大丈夫……大丈夫だから。何も怖くないから。」
必死で撫でる。次第に、落ち着いていく…。ホッと一息。

そこで目が覚めた。

そんな夢を見て、少しだけ現実と向かい合う勇気を持った。あの恐怖も苦しさもまだ微かに残っているけれど。
夏の暑さにでもやられたかな。こんな私でも助けてくれるのか、夏の魔法とやらは。
公開:21/08/13 12:00
更新:21/08/13 04:51

umina*

長い物語の中の短い独白。
思い付きで書いたもの。

ここでも書いてます
note
https://note.com/umina1043/
 

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