スポットライトを浴びて

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演劇を指導してくれる先生は、とても厳しい人だった。活舌が悪い。表現力がない。声が小さい。動きが大きすぎる。立ち位置がおかしい。毎日毎日、色々な事を注意される。

「何やってるの!!さっきと同じミスだよ!もう一回!!」

もう何度目だろう。きっと僕には、演劇の才能なんてないのだろう。

「はい、ストップ!!台詞間違えてる!!ちゃんと台詞覚えてるの?」
「すみません……」

頭では分かっているんだ。でも上手くできないんだ。くそっ……。どうしてだ……。

それからも稽古の日々は続き、次第にミスも少なくなっていった。でもやっぱり毎日、細かいところを注意されてばかりだった。そしてそのまま舞台公演本番の日がやってきた。

「僕やっぱりだめだ……」
「この瞬間の為にやってきたんだ。大丈夫。全力で輝いてきな。さあスポットライトを浴びて」

一瞬の輝きの為、僕はステージへ走っていった。劇は大成功だった。
公開:21/08/12 22:05

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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