イル

まっさらな世界にイル達は誕生しました。
コロコロと１箇所に集まるようになりました。
「プはここに居るよ。夜は光る事にするよ」
「タはここに居るよ。いい匂いをさせるよ」
「モはここに居るよ。愉快な音を出すよ」
それぞれが他の何かをやり始め、いつしかそれが当たり前になりました。
「ズはここに居るよ。ここに居るよ」
そう宣言したズを皆が問い詰めます。
「なぜ君は何もしないの？」「皆何かしているよ」
「自分に出来ることを探しなよ」
しかし何もしようとしないズを皆は邪魔者扱いするようになりました。
誰からも無視され、疎まれてもズはその場から離れませんでした。
やがて
イル達はポツポツと消えていきました。
残るはズと今まさに消えんとするビの２つだけです。
「君はとうとう最後まで何もしなかったね」
そう残しビは消えました。


「ズはここに居るよ。誰も一人ぼっちにはさせないよ」
そしてズは消えました。