メロンパン

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毎週水曜日、出店でメロンパンを買う。ここのメロンパンはいつも焼き立てで美味しいんだ。帰り道、私は君に今日も食べに行こうと誘う。君はいつも笑ってくれる。


今日メロンパンを買った。市販のものだ。なんてことない普通の。美味しかった。
ふと、あの頃のメロンパンを思い出した。

いつからか、私は無意識に君のことを傷つけていて、私は、それに気づくことさえできなかった。
君がいつものように笑うから。

卒業が近づく、私は君に、メロンパンを食べに行こうと言う。そしたら、仲直りできると思っていた。

それは、出来ないことだった。溝は深く、埋めることができない。あとはもう、離れていくだけだった。
「食べに行けば、いいんでしょ?」
君は最後まで笑ってくれなかった。

私は今、君の知らない場所でメロンパンを食べている。
あの頃と変わらぬ味がした。
公開:21/08/11 15:26
更新:21/08/11 15:27
奇しくも今日は水曜日

umina*

長い物語の中の短い独白。
思い付きで書いたもの。

ここでも書いてます
note
https://note.com/umina1043/
 

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