私のお墓の前で泣いてください

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本当に……。お前は強い子だ。
お前は毎日、私の墓参りに来てくれる。それだけでも十分に嬉しい。私の死後もこんなに想ってくれているなんて、私はなんて幸せ者なのだろうか。

「……泣いてくれ。頼むから」

もちろん死んだ私の声が、お前に届くはずもない。でも言わずにはいられなかった。お前はいつだって、悲しい気持ちをグッとこらえて平気な振りをしている。

だから……

「泣いてくれ。泣いたっていいんだ。お前は、心に辛い気持ちを溜め込みすぎている。我慢しすぎだ。泣く事は、悪い事じゃないんだ」

「うっ……ううっ……ぐすっ……。お父さん……ううっ……ううっ…うわあああああ」

やっと泣いてくれた。私はほっとした。

「……お父さんの……声が聞こえた……。近くで見ててくれてるんだね」
「ああ、見てるぞ。ずっとお前を見守ってるからな」
「ありがとうっ……」

もしかすると、私の声は届いていたのかもしれない。
公開:21/08/12 17:56

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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