クライマックス

　刀を上段に構え、敵の群れに飛び込む。振り下ろした一撃で一人目、返す刀で二人目、怯んだ三人目を蹴飛ばし、本陣目掛けて道をこじ開ける。不意を付かれた敵将の懐に飛び込み、躊躇なく一突きにした。
「やってくれたな」
　敵将は本性を見せ、大蟷螂と化した。が、素早く背後に周り、刀を振り下ろす。三角形の頭がぼとりと落ちた。
『ハァハァ、やったぞ』

　陰湿な空気がモヤのように充満する室内をモニターの光が照らす。画面には勇者の姿が映し出され、三つの影がそれを眺めていた。
「入念に研究されたな。まさか奴を上回るとは」
「クククッ。所詮奴は四天王でも最弱」
「フン、四天王の面汚しめ」

『読書感想文と絵日記はまとめてやっつけるとして、次は夏休みの友かな』

「クククッ。ご指名だ」
「ぬかるなよ」
「誰に口を利いている」

　夏休み四天王との戦いもいよいよクライマックス。残された時間は少ない。ゆけ、勇者よ。