輝声

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俺はしがないラジオ局のDJ。売れない番組、あてもない未来、一寸先は闇、豚に真珠、、これは違うか。特にかわりばえしない毎日に、俺は何かを求め始めていた。

ある日、一枚の葉書が届いた。人気なんてこれっぽっちもなくリスナーから葉書が届くことさえ初めてだった。

「いつも楽しくみさせていただいています。私はあなたの声が大好きです。万人からは決して好かれるような内容ではないと思います。それでも私にはあなたの、内容にあわず生き生きとした、他の人には伝わらないかもしれませんが、その声が輝いているように感じるのです。どうか、これからも私にその声を届けて下さい。」


20年後、今俺はなんとかこの世界でやっていけるようになった。思い返せば、あの一枚の葉書が、若かった俺を腐らせずにここまで導いてくれたんだ。
なんとなく葉書の送り主の住所を地図で調べてみた。
耳の聞こえない人が住む福祉施設だった。
青春
公開:21/08/12 00:00

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