腐食維持管理委員会

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朝、彼らがやってきた。白衣の三、四人。まだ寝てるのにドアを叩く音。開けると「市役所の腐食維持管理委員会です」と入ってきた。
「何?」
「市民の腐食維持を管理しています」
「金属の?」
「錆びではなく身体への細菌による侵食です」
「細菌がつかないように?」
「違います。細菌は身体に必要です。現代は皮膚細菌が不足し身体のバランスが壊れて社会的事件を起こします。未然に防ぐのが委員会の使命です」
「わかった。着替えるよ」
「横になって」
ベッドに寝ると彼らは俺のパジャマを剥いで、投光器でスリット状の光を顔、胸、腹へとあてた。
男が「やはり細菌不足です。細菌をつけます」とスプレーで俺の身体に噴射した。
「これで一ヶ月は大丈夫です」
俺が起きると、男は手で制して「次は内側です」
え?
彼らは俺の顔を固定して「口を開けてください」
内側まで細菌をつけるのか。ゆっくり寝かせてくれよ。日曜日の朝なんだから。
その他
公開:21/08/10 10:37

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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