友として男として人として

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「女心を知るため女になるから」
友人は宣言し、あくる日の夕方に女装してやって来た。
街へと歩きながら彼は言う。
「ねぇ、私という女と過ごしているって自覚あるの?」
「いやぁ、、」どうも世界観に追いつけない。
「色々あるんだけどさ。まずその妙に白い顔は何なの?」 よく見ると露出した手や足も白い。
「女性らしさと言えば肌肉玉雪でしょ?小麦粉よ」そう言って腕をパシパシと叩くと白い粉が舞った。
「ほら、女として私をみて」

何かを求めようとするならば、それに見合った自己犠牲を払うべきだ。
彼は今、男性としての自我を永久に失ってしまうほどの犠牲を払っていた。
「たけし」彼は応じない。
街のタイルを弾く乾いたヒールの音だけが響く。
晩夏の心地よい風が吹き抜け、彼女の髪を揺した。
全てが大きな間違いなのかもしれない。しかし私は、彼の友人であり親友であり男なのだ。
私は彼女の手を取るところからはじめた。
公開:21/08/10 09:56

太郎犬( 日本 )

読書量も文章力も想像力もまだまだですが、ちょっとずつ投稿していきます。
コメントいただけると嬉しいです。
 

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