テーマパークの出口

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久々の遊園地、娘と手を繋ぎ出口へと歩いていた。
「ゆいちゃんは何が一番楽しかった?」
「えれべーたー!それと…おしくらまんじゅう!」と満面の笑みで答えた。
「そうね。お土産もいっぱい買えたね」
私はその笑顔見れただけで感無量だ。夫も同じだったようで、
「ちょっとそこで写真撮っていかないか」と花壇前の広場を指差した。
通行人にシャッターを頼み、家族3人並んで写真を撮った。
「やっぱりいいもんだな。全部が見えるってのは」撮った写真を眺め夫はそうつぶやいていた。
「何、感傷的になってるの?」そう言いながら私自身も名残惜しく振り返る。
まだ幼い頃、両親に連れて来られた頃にはメルヘンなお城があった。
そこは今、百貨店が建っている。ただ出てくる人は何も装着せず笑顔である。
下唇を噛み娘にガスマスクを装着する。

非常事態宣言が常態化した現代、
テーマパークはかつての日常を楽しむ場所となっていた。
その他
公開:21/08/10 08:36
更新:21/08/10 10:48

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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