猫分身

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我輩は猫である。
ご主人様が毎日毛並みを整えてくれる。
入念なブラッシングで我輩の毛並みは、そこいらの絨毯よりふわふわだ。
ブラシ後の抜けた毛で毛玉を作ってくれる。
これを追いかけるのが至福なのだ。


気づけば丸められた毛玉は、日に日に大きくなっていった。
ある日毛玉に目と耳が生えてきた。次の日には我輩にそっくりの模様が出て、完全にもう一匹の我輩が生まれた。
ご主人様は毛玉猫を可愛がるようになった。
「そいつは我輩ではない!」
叫べど届かない。
我輩の毛から生まれたその分身は、我輩を乗っ取ったのだ。
ファンタジー
公開:21/08/09 21:43

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