ぼくのばあちゃん

2
1

あーん、あーん…

おや、どうしたんだい。こんなところに一人で。パパやママは?

わかんない、みんないなくなっちゃった…

仕方ないねぇ。ほらおいで。ばあちゃんと一緒に探そうねぇ


笑いながら伸ばされた手は、やけにひんやりしていた。けど、泣きすぎて身体が火照ってた当時の僕にとっては大変心地の良い冷たさだった。

あれはいつのお盆の墓参りの時だったか。ようやく家族と再開した時、僕を助けてくれたばあちゃんはとっくにいなくなっていた。
家族はみんな、知らない人が助けてくれたんだと思ってるけど、本当はそうじゃない。

「…あの時は、助けてくれてありがとう。ばあちゃん」

墓を丁寧に拭きながら、父が持っていた写真の女性に礼を言う。
写真の中の女性は、あの日と同じ顔で笑っていた。
その他
公開:21/08/11 09:35

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容