アイ

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 筆が遅いというか筆をこまめに断つ僕としては、彼女は驚異的な人物であった。彼女が投稿しているサイトにショートショートがアップされるのは一日として途絶えることはないし、それに加えて月に一度は長編と言える作品が投稿される。作品の傾向というものもなく様々だった。サイトの名前は"ウィー"なんとも陽気なサイト名だ。そんな彼女と会う機会ができた。約束の場所に行き、僕はあらかじめ聞いておいた特徴の人を探したが混乱だった。赤い帽子を被り、白いシャツにジーンズを履き、黒いサコッシュを下げそして星新一の『妄想銀行』を持った人物のはず。しかしそこにいたのは赤い帽子が一人、白いシャツが一人、ジーンズが一人、黒いサコッシュが一人、そしてあろうことか全員が『妄想銀行』を持っていた。仕方なく僕はこう言った「ウィー!!の方はいらっしゃいませんか。」そうしたら全員が集まってきた。その時気づいた、あぁ"we"。
公開:21/08/11 08:47

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