会えるし会いたいのに会わない

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 愛依とは放課後にゲーセンで遊ぶだけの関係だが、その時間が俺はとても心地よかった。卒業して、そんな時間が失くなってしまうのが嫌だ。卒業式当日にそんなことを思ってしまう。

 「卒業してもゲーセン行こうな」

 その一言を俺は言えない。理由は、それが叶わなかったときに愛依との関係が自然に崩壊することが怖いからである。
 進学先の違いの関係で、きっと今までのように会うことなくなる。お互い県内の学校に進学するので、会えないわけではないが、きっと自然に会わなくなる。
 会えるし会いたいのに会わないこという状況になる。
 そんなときに「卒業してもゲーセン行こうな」という言葉を思い出すと、俺の気持ちはどうなるか。きっと辛くなるだけだ。
 だから何も言わずに別れて、今から関係を崩壊させてしまおう。そう思う俺に愛依は言った。

 「卒業してもゲーセン行こうね!」

 それは、とても嬉しく辛い言葉だった。
青春
公開:21/08/11 00:39

西宮しの

初心者です。体験できなかった、体験したかった青春を小説にして心を充たします。いつか長編を書いてみたい。

※小説内に登場する人物名、地名、商品名などは実在するものとは一切関係ありません。

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