残炎① 〜本の向こうに

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小学生の頃の私は、女の子には珍しく戦艦や戦闘機の名前をよく知っていた子供だった。
きっかけは当時夢中で観ていた『宇宙戦艦ヤマト』だ。モデルとなった戦艦が実在していたと聞かされた私は、学校の図書室で本を借り、大和だけでなく武蔵・信濃・長門・陸奥…と他の艦まで覚えていった。
アニメに登場した「ゆきかぜ」は、実際に数多の戦闘をくぐり抜けながらもほぼ無傷であった、超強運の駆逐艦「雪風」がモデルだったようだ。
だが男の子と違ってカッコいいとはあまり思わず、日本にそんな戦艦があったことがただ不思議だった。

それよりはむしろ、原爆の写真やホロコーストの恐ろしさに震えた。攻撃する側よりされる側の方が想像しやすかったのだろう。子供心にいつか広島と長崎、そして沖縄には行かねばと思い、大学を出る頃にはそれを果たした。
高校の時に足を運んだ『アウシュビッツ展』の衝撃。その日の夕食は一口たりとも喉を通らなかった。
その他
公開:21/08/13 08:00
更新:21/08/11 19:19
メモリアル三部作① 昨年に続き、今年も書きました 重い内容ですが お付き合い頂けると嬉しいです #130

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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