『地球儀』雑貨店シリーズ

カランコロン♫

明るい年配の男性が雑貨店にやって来た。

「いらしゃいませ」

「何も書いて無い、白い地球儀ある」

「白い地球儀？」

「カンバス地のやつ」

「カンバス？」

「そこに私の考えた、理想の地球を油絵具で描くんだよ！」

「なるほど」

「まずね、日本の国を大き目に描くんだ。アメリカと中国は小さめ目にね。そして、国と国をみんな地続きしちゃうんだよ。国交がし易いだろ。あとの残りは全部、ぜーんぶ海。青く透き通る美しい海だ！沢山のイルカや鯨、魚達が気持ち良く踊る様に泳いでいる」

「素敵です」

「だけど…残念ながら私は絵心が丸で無いんだよ」

「はあ」

「そこでだ、絵画教室に通う事にしたんだよ。あはは、描けるようになったら、買いに来るかさ。じゃあね」

「え？」

コロンカラン♬

男性が出て行って、雑貨店は静かになった。
そして店主は、大きなため息をついた。