スコップ

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彼女の家の夕食にお呼ばれした。料理が並ぶ中、僕はコップの横に置かれたスコップに首を傾げる。何これ?
「何って…スコップよ?もしかして貴方の家では食事時にスコップ使わなかった?」
頷くと彼女の両親にも驚かれた。そんなに変だろうか?
「これがあると話が弾むの。スコップは過去を掘り返す道具だから掘れば掘るほど話が盛り上がるのよ」
彼女は僕にスコップを突きさした。
あれ?彼女との思い出が掘り起こされる。自然と口から言葉が出る。さっきまでの緊張が嘘のようだ。
彼女を見ると「ほらね」と笑う。
「あとね、除想も出来るわよ」
除想?
「そ、浮気相手への想いを取り除く事が出来るの。でもその際、出来るだけ優しくしないと禍根を残す事になるから気を付けないといけないわ」
「ね?」と彼女が視線を向ける先、彼女の父が冷や汗をかいていた。
僕はスコップを手に取ると彼女の父の過去を埋め始めた。こういう使い方もアリだよね?
公開:21/08/08 20:46

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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