寄生ラッシュ

　夏。お盆になると寄生ラッシュが始まる。特に気疲れした夫婦に寄生する悪霊たち。妻の実家からやっと解放され気を抜く夫、姑に神経をすり減らし疲弊した嫁。気を抜くと頸の辺りにポッカリと通寄口という穴が開く、そこへ霊が滑り込み寄生するのだ。
　ニュースで家族連れの夫婦のどちらかがグッタリしてるのは明らかに寄生されている。霊媒師を生業にしているからわかる。

　列車の中では、鮨詰め状態の霊たちが寄生先を探しているようだ。
　俺にとってお盆は書き入れ時だ。そいつらを祓うだけでお金を払ってくれるのだから。かと言ってそんなことをすれば霊たちに怨まれこっちが危ない。そこはギブアンドテイクだ。寄生先を紹介してやる。悪事を働く人間たちだ。そいつらの通寄口を開く術は日々鍛錬している。
　寄生された悪人は寿命を絞り取られ地獄行きだ。陰ながら社会貢献しているだろう。
　そうやって俺は、幽霊を食い物に寄生しているのだ。