故郷の挨拶

4
1

この町に戻ってきたのは七年ぶりか。相変わらずこの町は、殺伐とした雰囲気が漂っている。まあそこがこの町の良いところか。分かりやすい。俺は煙草に火を点けてフゥーッと煙を吐く。

「…おいおい、お前らそれでも隠れてるつもりか?バレバレだよ。俺の身ぐるみ剥がそうとしてんだろ。まあ出てこいよ。顔くらい見せろや」

物陰からぞろぞろと人相の悪い男達が刃物を手に出てくる。

「やめとけ。俺を相手にお前らじゃ傷ひとつつけられねぇよ。怪我しねえうちに失せな」

男達が次から次へと刃物で襲い掛かってくる。

「やれやれ。せっかくの忠告も無駄か」

刃物をひらりとかわし、その腕を捻って刃物を地面に叩き落とす。

「おい、やめろ。その人に手え出すな」
「ん?お前ジョーか?久しぶりだな」
「兄貴、おかえりなさい」
「おう、ただいま」

ここは俺の故郷だ。刃物で襲ってくるなんて粋な挨拶じゃねぇか。楽しい挨拶だ。
公開:21/08/08 17:11

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容