記憶売りませんか?

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競馬で大負けした。残金は30円。来月の給料日までどうやって過ごしたらいいんだ……。友達に…いや、前借りた金も返してないから断られるだろう。はぁ……参ったなぁ……。

「お困りのようですね。今すぐお金が必要。そうですね?」
「えっ?」
「だったらあなたの記憶売りませんか?高く買いますよ」

胡散臭い男に話しかけられ、俺は薄暗いビルの地下に連れていかれた。椅子に座らされ、頭にアンテナを付けられた。

「これで脳の電気信号を読み取り、吸い取ります。他人の記憶は、とても需要がありますからね。私としても良い商売になるんですよ。どうでしょう?今日一日の記憶、3万円で買い取りますよ」
「競馬で大負けした記憶が!?3万?」
「いるんですよ。そういうマニアが」
「分からねぇな」

それから俺は、しょっちゅう記憶を買い取ってもらった。
……あれ?俺、誰だっけ?思い出せねぇ。
ついに自分の名前も忘れてしまった。
公開:21/08/09 20:42

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
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