ガラスの小瓶

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祖父の家の庭で透明の球体を拾った。ひんやりとして固い…電球?ううん。ガラスの小瓶かな?
「それは透明人間の卵じゃ」
祖父の答えは私の想像をはるかに超えていた。そんなバカな…
「小人の透明人間でな、ここら田舎では昔から”家鳴り”って呼ばれておる。海外ではポルターガイストと言ったか…妖怪の類じゃよ」
祖父は私の手から透明人間の卵を奪うと地面に叩きつけようとする。
「ダメ!殺さないで!返して!」
祖父は目を丸くして透明人間の卵を返してくれた。
「それ、どうするんじゃ?」
「…家に持って帰る」
私の呟きに祖父は呆れた顔を浮かべるも「好きにせぇ」と言ってくれた。

数日後、部屋に置いてあった透明人間の卵は無事孵化したようだ。
母から「ガラス瓶が割れてるわよ」と言われ、ふふっと笑う。
以来、ウチでは心霊現象がよく起こるようになった。
でもそれをきっかけに会話が増えた私達家族は恐怖を微塵も感じていない。
ファンタジー
公開:21/08/09 20:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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