ダリア

「これは何て言う名前？」
「ダリアだよ」
「これは何て言う名前？」
「ダリアだよ」
「これは何て言う名前？」
「だから、ダリアだって。ダリア園なんだから、全部ダリア！」
父と母が同じやりとりをしている。
2人ともよくやるなぁと横目にしていたが、いい加減鬱陶しくなってきた。
「お母さんは品種を聞いてるの！　お父さんが先に進んで、品種の書かれたプレートを隠すから。右から、『ピーチパイ』『マンゴープリン』『いちごラテ』」
「美味しそうな名前ねぇ。お腹が空いたわ」
「併設されてる店で、なんか食べようか」
なんだかんだ言って気が合うんだろうな。
いいけどさっ。
ひとり呆れてる私が馬鹿みたい。
いちばん高いメニュー頼んでやる。