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朝四時、大体きっかりに目を覚ました。
タイマーをセットしていた炊飯器を開ける。2合炊いておいた。1合でも良かった気がしたけど一応2合炊いた。
おにぎりを作るなんて何年ぶりだろう。
ツナをマヨネーズと塩胡椒とめんつゆで和えたもの。
焼いたういんなーを入れたもの。二つのおにぎりを作った。
深緑色の水筒に麦茶を注ぐ。氷もたっぷり入れた。
昔使っていた黒いリュックに詰め込む。
紺色の帽子をかぶる。

夢で見た狐を探しにいく。
夢の中のものなんて現実にいるはずない。いるはずないと分かる程には歳を重ねたつもりだ。けれど、けれど先週見たあの白いキツネだけは、どうしても存在する気がしてならなかった。
キツネはふらっと現れた。初雪みたいに白かった。新品の毛布みたいにふわふわだった。僕をちらっと見つめて消えた。夢みたいに優しい表情だった。

新品のウォーキング用の靴を履いた。結末を知りながら玄関を開ける。
ファンタジー
公開:21/08/06 23:13

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