ガラスの小瓶

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僕と妻は子宝に恵まれなかった。妻には申し訳ないと思っている。
母は『妻は子を産めや増やせや』という古い考えの人だ。子が出来ない妻を母は責め立てた。僕も妻も口答えできなかった。
やっと子宝に恵まれた…そう喜んだのも束の間、その子を流産してしまった。母は激しく妻を罵倒する。骨壺代わりに用意したガラスの小瓶。子の亡骸の入った瓶を庭の池に投げ捨て魚に食わせた。その上で僕に子供を作れと命令する。もう限界だ!
僕は妻と家を出る事を決意する。母の七光りで得た地位も仕事も全て捨てよう。

夜、僕は荷物を纏め妻を探した。妻は池の前に座り込んでいる。まだショックなのだろう…そっとその背に近づく。
妻は微笑んでいた。池の底に沈み、魚に喰われる母を見つめていた。
思わず悲鳴を上げた僕を妻と魚が振り返る。
「見て…私達の子供…」
妻が指さす池の中、魚が口を開く。
「をトぅさn」と呼ぶ歪な声に僕も狂ったように笑った。
ホラー
公開:21/08/06 20:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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