見えたか?

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上司と一緒に車で走っていた時だった。

「お、おい……。今の見えたか?」
「は、はい。見えました」
「足のない女だったよな?」
「えっ?男じゃないですか?」
「真っ白な服を着ていたな…」
「えっ?赤い服でしたよ」
「何を言ってるんだ。長い髪だったよな?」
「いや、短髪でしたよ」
「お前……。さっきから何を言ってるんだ。お前にも見えたんだろう?」
「部長こそ……。部長も見えたんですよね?」

俺達はお互いそこから何も喋らず、車内は無言だった。取引先に着いた。

「お越し下さってありがとうございます。今お茶入れますね」

俺と上司。お客さん。そこには3人分のお茶ではなく、5人分のお茶が運ばれてきた。

「さあどうぞ」

2つ多い…?

「あの…お茶多くないですか?」
「後ろの白い服を着た女性と赤い服を着た男性の分ですよ」

後ろを振り返った。

「部長…。見えました。女性」
「俺も男が見えた」
ホラー
公開:21/08/08 11:21

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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