『麦わら帽子』雑貨店シリーズ

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雑貨屋の閉店間際だった。
急に空気が冷たくなり、店主の耳に声が聞こえて来た…

「オジさん」

そこに、少女が立っていた。
肌は白く透けている。

「いらしゃい」

「花子の帽子ある?」

「どんな帽子かな」

「赤いリボンの麦わら帽子。内側に『花』って書いてあるの」

「…奥の棚を見てくるよ」

「うん」

店主は帽子の在庫の中から、子供用の赤いリボンの麦わら帽子を取り出し、内側に『花』とマジックで書き、少女の前へ持って来た。

「あったよ」

「あっそれだ!オジさん、貰って良い?」

「ああ、もともと君の物だ」

「花子は、私の妹よ」

「え?」

「ケンカして、花子の帽子を引き破いたの。ママに叱られて泣きながら家を飛び出した時、車に跳ねられて…花子に帽子を渡したら、天国へ行けるかな」

「うん、行けるよ」

「オジさん、ありがとう…」

少女は消えて…空気が戻った…。
その他
公開:21/08/08 10:41
更新:22/07/15 16:06

杉本とらを( 東京 )

言葉遊びが好きで、褒めらると伸びるタイプです。
良かったら読んでやって下さい!

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