究極の小説

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出版社で働く私の元に一通のメールが届いた。

「究極の小説を完成させました。読んで頂けないでしょうか」

まただ。これこそ私の自信作ですと出版社にメールしてくる作家は多い。その大半は、自信作と言う割に期待した程大したことがない。だが仕事柄、一応目を通して確認しなくてはならない。メールを送ってきた作家の自宅へ行くと、彼は原稿を私に見せた。

「どんな物語なんですか?」
「これから起こる未来の話です」

そこに綴られていたのは、2011年東日本大震災発生。新型ウイルスの流行と2020年東京オリンピック延期及び2021年の開催。

「こんなことがこれからの未来に起こると言うのですか?」
「まあ小説の話ですから。どうですか?」
「うーん、残念ですが――」

それは2008年の事だった。あの時、私が彼の小説を出版する為に動いていれば助かった命もあったかもしれない。あの時、私は究極の小説を読んだのだ。
公開:21/08/07 20:02

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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