ガラスの小瓶

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俺は不器用な人間だ。職人気質と言えば聞こえはいいがガラス工芸以外はからっきし。人付き合いも苦手でいつも一人だった。
でも彼女は俺の作品を見て、綺麗だと言ってくれた。俺も俺の作品も好きだと言ってくれた。
嬉しくなった俺は彼女の為にガラス工芸を作り続ける。
いつからだろう…彼女が俺の作品を勝手に売り始めたのは…
俺の作品は高値が付くらしい。工房から次々と作品が消えていく。
まるでガラス玉のように透き通っていた眼は、今や黒く濁って見る影もない…
そんな彼女にとっておきの作品をプレゼントした。緻密なデザインの精巧なガラスの小瓶。
それを彼女の部屋の窓際にそっと置いた。

次に彼女と出会ったのは彼女の葬式。
狙い通り、細工したガラスの小瓶は部屋で収れん火災を起こした。彼女も焼け死んだよ。
俺は不器用な人間だから裏切る=殺すに繋がってしまった。
警察に怪しまれていない俺は意外と器用なのかもしれない。
ミステリー・推理
公開:21/08/05 20:25

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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