地獄もぐら

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地上のもぐらだった頃の俺はとにかく穴を掘っていた。
掘って掘って掘りまくった結果、地表は穴ぼこだらけ、地中はすかすか、地盤はガタガタになった。
遂には地面の最深部まで掘り尽くし、自ら掘った穴から地獄へ落っこちた。

呆れた閻魔に地上を滅茶苦茶にした罪を裁かれ、灼熱地獄へ送られた。

灼熱地獄では、ぐつぐつと煮えたぎる湯の中に沈められ、苦しみ悶えながらも大釜の底を掘り進んだ。
気が遠のいてきた頃、釜底が割れて針山地獄へ転がり落ちた。

針山地獄では、鋭い針に貫かれ全身から血を吹き出しながら山を掘り進んだ。
やがて山は崩れ、地獄の罪人も獄卒鬼も流れ落ちる針に埋もれていった。

惨状を止めに駆けつけた人喰い鬼に丸呑みにされたが、そんなことで俺は止まれない。
鬼の肚をかっ捌き外へ這い出した。

困った閻魔は、俺を掘り進む地面のない天へ送った。

これが星座「地獄もぐら座」の由来とされる逸話である。
その他
公開:21/08/05 04:23

まるちーず( チェンマイ(嘘) )

『ショートショートでひらめく文章教室』を読んで書き始めました。
文章書けるようになりたいです!!

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