ガラスの小瓶

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ちょっと前まで授業中もスマホばかり見ていた生徒達が今は授業中、自らの小指を見ては溜息を吐いている。
一体何なんだ?スマホなら没収する事も出来るが小指はそうもいかない。
「ああそれ、運命の赤い糸マニキュアですよ」と若い教師が教えてくれた。
「見た目は普通のマニキュアなんですけど、運命の赤い糸マニキュアを塗った者同士で、相性が抜群の異性が近くにいたら赤い糸が見えるんです」
バカバカしい。と、一笑したら「先生も試しに塗ってみたらどうですか?」なんて言われた。
それじゃあ…と若い教師に塗ってもらう。ハートの形をしたガラスの小瓶。いかにも若者受けしそうだな。
「どうですか?」と聞かれても小指に変化はない。
家に帰る頃にはマニキュアを塗った事もすっかり忘れていた。
「ただいま」と家の扉を開く。私の小指が赤い光を放っていた。
光の先を見てみると「おかえりなさい」と微笑む妻の手元へ伸びていた。
公開:21/08/03 19:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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