フロートウェイ
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待ちに待ったこの舞台。
一年に一度の大舞台であろう場所に私はいる。ここには、大人や子供まで賑やかな声が広がる。
この舞台はいわば浮島である。鮮やかな緑色の液体に浮かぶステージで私は踊っているのだ。弾けるような歓声も聞こえてくる。
本当であればもうすぐ、この舞台から掬われて、運ばれる。
しかし一向にその時がこない。私を掬うものは穏やかな表情のものと楽しそうに会話をしている。
私のステージは徐々に沈んでいく。泡とも液体ともいえぬ姿になり、私自身も沈んでいく。左肩を掠めたスプーンがとても冷たく感じた。
梅雨どけの、早摘みの夏だった。
一年に一度の大舞台であろう場所に私はいる。ここには、大人や子供まで賑やかな声が広がる。
この舞台はいわば浮島である。鮮やかな緑色の液体に浮かぶステージで私は踊っているのだ。弾けるような歓声も聞こえてくる。
本当であればもうすぐ、この舞台から掬われて、運ばれる。
しかし一向にその時がこない。私を掬うものは穏やかな表情のものと楽しそうに会話をしている。
私のステージは徐々に沈んでいく。泡とも液体ともいえぬ姿になり、私自身も沈んでいく。左肩を掠めたスプーンがとても冷たく感じた。
梅雨どけの、早摘みの夏だった。
ファンタジー
公開:21/08/03 23:39
ご覧いただきありがとうございます。
俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。
名作文学の朗読Youtubeを行っています。
『http://www.youtube.com/@akky_roudoku』
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