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「信号って飽きないのかね」
「なに?急に」
「だってずっと同じリズムで色を点滅させ続けてるだろ。死ぬまでそれの繰り返し、飽きるだろ」
「機械に感情はないよ」
「あったらの話。扇風機もそう。ずっと風を起こしてるだけ。飽きないのかね。まあ信号とは違って羽の強弱や首振りの有無で多少の変化はあるけど」
「大丈夫?疲れてるんじゃない?」
「いや冷静に考えてるんだ。僕もこの繰り返された毎日を生きてよく飽きないなと」
「それを言われたら俺だって」
「寧ろいっそ機械になった方が、飽きるも何も感じずに楽かもね」
「・・・」
「ほら昼休みも終わる。戻ろうぜ、午後もまた飽きずに仕事だ」

俺は後日辞表を出した。同期のあいつの話を聞いて毎日の自分に飽きてしまったからだ。
暫くしてあいつが出世したと風の噂で聞いた。毎日飽きずにコツコツと機械の様に働く姿勢が評価されたらしい。

もしやハメられた・・・?
 
その他
公開:21/11/10 01:09

セイロンティー( 鹿児島 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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