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「私、最近覗きに遭っているの…」
憔悴した様子で話す友人に私は覗き穴を差し出した。
「何これ?」
『覗き穴よ。向こうが覗いてきているんだったら、こっちも覗き返して犯人の顔を確認したら?』
「いやよ。気持ち悪い…犯人の顔なんて見たくもないわ」
友人は覗き穴を突き返した。
『ねぇ、その覗きっていつ、何時頃来るか分かる?』
友人は首を傾げながらも「そうねぇ…」と答えてくれた。
『なら、その時間になったらこの覗き穴に針を刺してみて。その針が覗き穴を通じて相手の目に刺さるから』

その日の夜、友人から連絡があった。覗き穴に針を刺したら外で男の悲鳴が上がったって。
痛い目見たんだし、もうこれで犯人は覗きなんてしないでしょう。
ところで、さっき病院から「夫が目に針を刺されたような傷を負っている」と連絡があった。
私も覗き穴を取り出すと今、夫の目を覗いているであろう医者の節穴を通して夫の目を刺してやった。
ホラー
公開:21/11/11 21:00

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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