引き継がれるもの

「…あ？汚ぇガキだな。孤児か」

大柄な男が、ボロボロの、傷だらけの少年を見やる。逃げる体力も、抵抗する気力もない少年は、自分の最期を察して、ただ大人しくしていた。

「は、随分とイイコちゃんだな？いいぜ、そういうやつは大好きだ」

そう言うと男は少年を抱え、雪がちらつき始めた夜の街の中へと消えて行った。




「いいか。俺がお前を育ててやる。そんで、お前には俺の仕事を継いでもらうぜ」

男は少年を風呂に入れ、食事を与える。暖かい料理と部屋は、少年には初めてのものだった。
けれど、「仕事を継いでもらう」と言われ、少年は身構える。何をさせられるのだろう。恐怖で身体が震えた。

「俺の仕事は、運び屋だよ。世界中に荷物を運ぶんだ。お前みてーな、良い子のトコロによ」

そう言って、男は仕事着を取り出した。真っ赤で、白い綿がついた、大きな服。

「なぁボウズ」

「お前を未来のサンタにしてやるよ」