汗っかきなエアコン

我が家の居間のエアコンは暑いと汗をかく。弱音を吐くことは決してないが、気温が高い日に動かすと吹き出し口からポタポタと汗をこぼすのだ。おかげで床が水浸しになってしまうので、前もって大判のタオルやマットを敷いておく必要がある。そんな汗っかきのエアコンは、実は食いしん坊でもある。寡黙ではあるが、食事時になると吹き出し口からダラダラとよだれを垂らすのだ。

これまで何度も業者に洗浄や部品交換をお願いした。だが、1週間もすれば元通りになるのが常で、その度に我々は途方に暮れていた。そんなある日、一人で遊びにやって来た小学生の姪っ子が叫ぶように言った。「エアコンの中に誰かがいるよ」と。私や妻には見えないものが見えるらしい。姪はこう続けた。「家族扱いされなくて、しくしく泣いていたんだって」

それ以来、水漏れはパタリと止んだ。今では「今日もありがとう」、「お疲れ様」とエアコンに話しかけるようにしている。