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兄の明日が、焦った様子で帰ってきた。

「今日子」

「これ」と言って差し出してきたブツを、わたしは素早く鞄に詰める。外は大雨でびしょびしょだった。湿ったカップ麺やじゃがりごの箱が、わたしのか弱い握力でも扁平に潰れる。

「警察は?」

わたしは、ドアを必死に閉める兄に向かって言う。「呼ばれた」

「わかった」

「頼む」

その時「おい!」と、汚らしい男の声が部屋の前で鳴った。「開けろ小僧!盗んだろ!」

「じゃあ、例の避難場所で」

「おーけー」

ここまで来れば勝ちだ。わたしは兄と一緒に、玄関まで寄ってノブを捻った。

男はわたしには気づかない。ぽってりとした、雨でぬれぬれのお腹が頭上を透過する。荷物の鞄はギリギリ、ドアの裏に隠れてばれなかった。

外は晴天だった。私の方の今日はいい天気だったのか、と息を吸う。

だけどこの後にわたしは、避難場所で兄を、明日まで待たなければならない。
ファンタジー
公開:21/11/08 18:46

藤崎正(セカンドオニオン)

2021年2月に、物語を考えるのが好きで始めました。
もしよければ、コメント残して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

追記:2021.11.14 名前を『藤崎正』(フジサキショウ)に改名しました。一応分かりずらいと思うので、旧名(セカンドオニオン)は、付け足しで残しておこうと思います。


物語.com https://monogatary.com/user_page/story/f73e9d0f-3f97-11ec-81c5-0242ac120002

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