大きなのっぽの古時計

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「あ、動いた」
祖父の残した大きな古い柱時計は、修理業者の手によって再びチクタクと時を刻み始めた。

祖父が産まれた日に買われたという柱時計は、祖父が亡くなると同時に動きを止めた。動かないのなら処分しようと言う親戚を黙らせるため、私は業者に修理を依頼した。

「天国の祖父も、きっと喜びます」
修理業者を見送ると、私は改めて柱時計を見る。不思議な魅力を放つその大きな古時計は、見つめる程に惹きつける何かが。。

その時、外から恐ろしい叫び声が聞こえて、我に帰った。
この声は、修理業者か?
私が立ち上がると、玄関が叩かれた。

ドン、ドン、ドン、ドン

一定のリズムでドアを叩く音は、まるで時を刻む柱時計のように規則的だ。玄関の覗き窓から、恐る恐る外を確認すると。
そこには、時計と共に再び動き出した祖父が、朽ち果てた身体を柱時計の振り子のように不気味に揺らし、口許を血で濡らして立っていた。
ホラー
公開:21/11/05 18:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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