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「いい天気だし、散歩に行こっか」
ベッドから窓の外を見つめる僕の上半身を抱え、車いすへと乗せる彼女。外か…正直、行きたくない。
道で友人に出会う。皆、僕を見て気まずそうに挨拶をする。
『元気か?』『足は大丈夫か?』『痩せたんじゃないか?』どれも余計なお世話だ。
すぐに走り去っていくのなら声かけるなよ…
昔は僕も走るのが大好きだった…だけど事故で両足を失った。走れない僕に生きている意味はあるのか?
今日も散歩の道中、病院へと寄る。いっその事、安楽死させて貰えないだろうか?
「注文の品、完成したよ」
先生はそう言って僕の足に何かを付ける。
「これは義足さ。歩いてごらん」
踏み出してみる。違和感はある…だけど、自分の足で歩けている!
「いやはや…犬用の義足を作って欲しいと言われた時はどうなるものかと思いましたが気に入って貰えて良かったです」
先生と飼い主である彼女も僕を見て嬉しそうに笑っていた。
公開:21/11/06 20:28

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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