魔女のりんご
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高額で買った特別なりんごを料理をしない夫がアップルパイを作るのに使ったと言う。しかも、すでに人にあげてしまったと全く悪気が無い。りんごくらい何だと、夫は不機嫌になる始末だ。
「ほら、これで買えよ」
夫は千円札をテーブルに置いて、家を出て行った。桁が二つも違う。悔しくて空の箱を壁に投げつけた。
落ち着いてくると、今度は不安感に襲われた。あれは、決して食べてはいけない魔女のりんご。
不貞を働く夫に食べさせようと思っていたのに。もし、相手の女達に食べさせたとしたらーー。
「タオルくれないか」
夫がずぶ濡れになって帰って来た。外は雷雨だ。
「どうしたの、その大量のりんご」
「お前と仲直りするにはこれくらい必要だと思って。一緒に作ってくれないか?」
「え?」
「この間はレシピ通りに作ったのに丸焦げさ」
夫は嘘を付いた。
「雨で冷えたな」
タオルを持つ手が震えている。
「ほら、これで買えよ」
夫は千円札をテーブルに置いて、家を出て行った。桁が二つも違う。悔しくて空の箱を壁に投げつけた。
落ち着いてくると、今度は不安感に襲われた。あれは、決して食べてはいけない魔女のりんご。
不貞を働く夫に食べさせようと思っていたのに。もし、相手の女達に食べさせたとしたらーー。
「タオルくれないか」
夫がずぶ濡れになって帰って来た。外は雷雨だ。
「どうしたの、その大量のりんご」
「お前と仲直りするにはこれくらい必要だと思って。一緒に作ってくれないか?」
「え?」
「この間はレシピ通りに作ったのに丸焦げさ」
夫は嘘を付いた。
「雨で冷えたな」
タオルを持つ手が震えている。
その他
公開:21/11/05 21:29
いいりんごの日
なのに、すみません
良くある話
白雪姫
魔女
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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