ブタ貯金箱

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「カランコロン」
家に帰るといつものブタ貯金箱が出迎えてくれた。彼との付き合いは8年になるがきっかけはお正月の福引きだった。当時アメリカのバイオ企業が最先端技術を費やして作った生きた貯金箱。今ではピンクの豚だけでなく青い像やホルスタインの牛なんかもいる。

もし百鬼夜行が巷に出ると噂される平安時代だったら、もののけの類いに勘違いされたのだろう。変わらなかったのはブタ貯金箱が来ても、貧乏長屋のうちは、閑古鳥が鳴きっ放しということ。

そんなある日、家に帰ると開け放たれたドアの前で、ブタ貯金箱が粉々になっていた。金目の物だと、勘違いした空き巣の犯行に違いない。伽藍堂のブタ貯金箱には、お金なんてこれっぽっちも無かったのに。何気なく、かけらを手に取ると涙がぽとりぽとりと落ちた。
心の中で、ブタ貯金箱と過ごした日々が走馬灯のようによぎる。彼のいない空を見上げると、かけらを持った手に血の温もりがした。
ファンタジー
公開:21/11/02 19:46
更新:21/11/02 19:52

水鏡かけら( 日本 )

執筆のリハビリがてらに、書いております。
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